2016年04月04日

Mさん本当にありがとうございました

 今日早朝にMさんが奥さんや娘さんたちに見守られながら安らかに眠るようにして亡くなられました。90歳でした。
 「少し、身体がだるい」と言うMさんを検査をしたら、重度の貧血がありました。総合病院(Mさんはかってその総合病院の事務長をされていました。)に紹介すると、進行した胃ガンがあり、すでに肝臓に多発性の転移を起こしていました。手術も抗ガン剤の適応もなく、保存的に治療するしかなく、予後は長くもっても6ヶ月と言われました。今年の7月初旬でした。輸血を受けて少し元気になって退院されたMさんはその後クリニックに週に3回、鉄剤の注射に来られていました。秋津レークタウンクリニックの直ぐ近くに住んでおられ、26年前、クリニックがオープンして以来ずっとクリニックを受診されていました。
 今年に入ってからは胃ガンの進行と肝臓転移の悪化により、歩くのがしんどくなられ、通院が困難になり、訪問診療を始めました。
 もともと非常に温厚な性格で、笑顔を絶やすことなく、人にとても気を遣われる方でした。「胃に悪性の腫瘍があり、肝臓に広がっています。手術や抗ガン剤は難しいので貧血や痛みなどを取りながら家でゆっくり過ごしていきましょう。」と病名の告知をしても、落ち込まれることもなく、「分かりました。よろしくお願いします。」と笑顔で答えられました。
 それからは奥さんと娘さんたちがいつもそばに付き添い、心からの看護と介護を続けられました。クリニックでは週に2回の訪問診療を行いました。「何か不安なこと、希望はありませんか?」と訪問診療のたびに訊ねましたが、「何もありません。」といつも笑顔で答えられるだけで、、帰る時にはしっかりと手を握ってくれました。
 3日前の4月1日、「眠ってばかりで少し様子がおかしいようです」という家族の方からの連絡で往診をすると、「だんだん悪くなっているのが分かります。もうすぐだと思います。」と手を握られました。「死が迫っていると思われるということですか?」と訊ねると、「そうです。もうすぐ私は逝きます。あとの処理をよろしくお願いします。」と握る手に力を込められました。「私はクリニックが大好きでした。でもクリニックを十分、支えることができず申し訳ありませんでした。これまでありがとうございました。」Mさんは涙ぐみながら語られました。いいえ、Mさん、十分すぎるほど支えていただきました。Mさんの笑顔、私達への温かい声掛けはどれほど私達を力づけてくれたことでしょう。Mさんは昨年5月30日のクリニックの25周年パーティにも来ていただきました。そのときはすでにMさんの中では胃ガンと肝臓転移が進んでいたのです。きっと身体はきつかったと思いますが、しかし、そんなことは少しも出さずに、ただ私達を励ますためだけに来ていただいたのですね。そして、こうして亡くなる直前になっても自分のしんどさを訴えるのではなく、私達を励ましてもらうなんて。
 僕はMさんに出合って本当に幸せでした。Mさんの笑顔と優しさのあまりの深さに心が震えています。Mさんの優しさ、温かさはこれからずっと僕を照らし続けていくと思います。本当にありがとうございました。どうぞ安らかにお眠り下さい。
posted by Tぼらん at 22:54| Comment(0) | クリニックのブログ
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